彼女は同じ職場の彼にずっと恋をしていた。
毎日顔を合わせる。朝の挨拶も、昼休みも、帰り際のロッカーでも。
だけど、そこから一歩を踏み出せない。
1年目──「明日こそ」と思いながら過ぎる。
2年目──「もう無理かもしれない」と心が折れそうになる。
3年目──「それでもやっぱり好きだ」と涙を飲んで踏みとどまる。
そうして迎えた4年目、心はもう限界に近づいていたんだぜ。
彼女は何度も優の元に通った。
「先生、今日も話しかけられませんでした」
「彼の目を見ると声が出なくなるんです」
弱音を吐きながらも、諦められない想いを託した。
優はそのたび祈願を重ね、彼女の心を整えていった。
そして最近──彼女は祈願具を手にした。
「これを使って毎日祈りなさい」
その言葉を信じ、彼女は毎日欠かさず祈願具を手に願いを重ねた。
すると不思議なことに、心の中の迷いが少しずつ澄みわたっていったんだ。
「大丈夫、信じて待てる」
そう思えるようになったとき、運命は動いた。
ある夕方、空が急に暗くなり、大粒の雨が降り出した。
会社を出た瞬間、偶然にも彼と一緒になった。
慌ててカバンを開いた彼女の手が滑り、書類が地面に散らばった。
その瞬間だ──彼が迷いなく傘を広げ、片手で彼女を覆いながら書類を拾ってくれた。
そして、心にしまっていた言葉が自然とこぼれた。
「毎日、避けてるように見えてた。でも違ったんだな」
彼女は息をのんだ。
「俺も声をかけたかった。でもお前が真剣な顔してて、勇気が出なかったんだ」
──“奇跡の雨”。
その場で長い沈黙が溶け、一気に二人の距離が縮まった。
4年間抑えてきた思いが、ついに流れ込んだんだぜ。
この報告がすぐに優の元へ届いた。
「先生…ついに叶いました」
涙混じりの声に、優は静かに頷いた。
彼女は振り返った。
毎日の祈願具、優への相談、そして先祖への感謝。
それらすべてが重なり、“奇跡の雨”を呼び込んだんだ。
恋は偶然じゃない。
魂の声を信じ、祈りを続け、先祖の導きが働いたときに現実は動く。
彼女の4年の片思いは、信じ続けた末に必然となり、結ばれたんだぜ。