「あやとり」
懐かしい響きですね。
一本の糸だけで、
世界を作り出す遊び。
橋。
ほうき。
星。
川。
東京タワー。
子供の頃、
夢中になった方も多いのではないでしょうか。
でも私は思うのです。
あやとりとは、
ただの遊びではないのかもしれない。
一本の糸。
最初は、
ただ絡まっているだけに見える。
けれど、
指を通し、
順番を間違えず、
静かに動かしていくと――
形になる。
意味が生まれる。
世界が現れる。
まるで、
人間関係のようです。
人と人も、
一本の糸で繋がっている。
親子。
夫婦。
恋人。
友人。
先祖。
そして、
まだ出会っていない誰か。
最初は見えない。
でも、
確かに糸はある。
あやとりは、
強く引っ張り過ぎると崩れる。
急ぎ過ぎても崩れる。
順番を間違えても崩れる。
人生と、
よく似ています。
人間も――
無理に相手を動かそうとすると、
糸が絡まる。
自分の思いだけを押し付けると、
切れそうになる。
でも、
相手の動きを見ながら、
呼吸を合わせると、
美しい形になる。
そして不思議なのは、
あやとりは“一人では完成しない形”がある事。
二人あやとり。
相手がいないと、
続かない。
つまり――
人生には、
一人では完成出来ないものがある。
という事なのかもしれません。
昔の人は、
糸に特別な意味を感じていました。
縁。
結び。
運命。
見えない繋がり。
だから、
一本の糸で遊ぶ「あやとり」も、
どこか神秘的だったのかもしれません。
ただの遊びなのに、
なぜか心に残る。
なぜか、
懐かしい。
そして、
ふと思うのです。
今のあなたが握っている糸は――
誰と、
どんな形を作ろうとしているのでしょうか。
