前なら気にも留めなかった階段が、
今では少し登るだけで息があがる。
同じ距離を歩いても、
足がついてこない。
いいえ──
“ついてこない”ではなく、
もう思うように歩けなくなってしまった。
足が悪くなって、
歩くことの価値を知った。
失って初めて、
どれほど大切なものだったのかに気づいた。
そして心臓の半分しか動いていないと知ったあの日。
あの瞬間、私は静かに悟った。
「人はいつまでも若くはない」
「いつまでも元気ではいられない」
そんな当たり前のことを、
私はあの日、やっと胸で理解した。
気がつけば、私は“生かされていた”。
奇跡で繋がれた命だった。
その奇跡がなければ、
今ここで誰かの幸せを願うことすらできなかったかもしれない。
身体は確かに老いた。
思うように動かない日も増えた。
痛みや不調が“日常”になった。
けれど──
その老いと痛みのおかげで、
私はやっと“時間”の意味に気づくことができた。
若いころには見えなかった景色。
健康を失って初めてわかる、
“生きることの重さ”と“尊さ”。
だから私は、心から願うのです。
どうか、みんなには後悔してほしくない。
元気なうちから、
若さを当たり前と思わず、
愛すべき人を大切にし、
今の時間を丁寧に生きてほしい。
笑える日も、泣く日も、
うまくいかない日も、
全部ひっくるめて“生きている証”。
あなたの“今”に戻ってくることは、
二度とない。
だから、どうか。
どうか自分を粗末に扱わないでほしい。
大切なものほど、
失ってから気づくものだから。
私が老いと病を通して知ったこと。
それは──
「時間は誰にも平等ではない」
「永遠だと思っていた今日が、永遠ではなかった」
という、深く静かな真実だった。
だから私は願う。
あなたが、
あなた自身の幸せへまっすぐ歩けますように。
後悔のないように、
大切な人を大切にできますように。
そして何より──
自分を大切にして生きてほしい。
その気づきに、
どうか今日、そっと触れてほしい。